怖い簡易課税制度

簡易課税制度は、計算方法が簡単になる一方で、あらかじめ届出が必要なので、難しい判断が迫られることもあります。

計算方法が違うので、税額の有利・不利がある

一昨日記事にした消費税の簡易課税制度は、中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から設けられている制度なので、簡易な計算方法となっています。
ただ、計算方法が違うので、計算した結果の税額も違ってきます。

一昨日の記事の説例だと、次のように簡易課税制度の方が有利になります。

説例:小売業を営む会社の損益
売上高  550万円(消費税込)
仕入高  330万円(消費税込)
給料手当 200万円(消費税なし)
損益    20万円

原則的な計算方法の場合
50万円-30万円=20万円

簡易課税制度の場合
50万円-50万円×80%=10万円

あらかじめ届出が必要

ただ、簡易課税制度を使うには、原則として、その課税期間が始まる前にあらかじめ届け出なければなりません。
そのため、消費税の申告書を作成する際に、両方計算してみて有利な方で提出しよう、ということはできません。

簡易課税制度を使える売上規模の法人の場合は、どちらが有利かシミュレーションして、簡易課税制度を選択するかどうかの判断をする必要があります。

・簡易課税制度を選択すると2年間はやめられない
・他にもやめられない要件がある
・簡易課税制度を選択している場合は、多額の設備投資をした場合でも消費税の還付が受けられない

このようなことを考慮して判断しなければならないので、なかなか判断が難しい場合もあります。

やめない限り有効なのも怖いところ

簡易課税制度は、一度選択すると、「やめます」という届出をしない限りはずっと有効なのも怖いところです。

課税売上高が毎年5,000万円を超えている法人だと、簡易課税制度選択届出書を提出していても原則的な計算方法しか使えないので、過去に簡易課税制度選択届出書を提出してあることを普段意識していなかったりします。

それが、たとえばコロナ禍のような突発的な事情により売上が下がって課税売上高が5,000万円以下になると、その翌々年度は簡易課税制度により計算しなければなりません。
そのような場合、簡易課税制度を選択したままがいいのか、それともやめた方がいいのかの判断をすべきですが、何しろ過去に簡易課税制度選択届出書を提出してあることを普段意識していないので、判断すべきであることに気がつきにくいのです。

そのようなことがあるので、簡易課税制度を使えなくなった場合には、簡易課税制度選択不適用届出書を提出して、リセットしておくのがよいと考えています。